為替広見

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為替の動向 トルコリラショックの影響が継続(2018年9月第2週)

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@Weekly 為替広見

この記事は2018年9月10日から14日までの

為替の動向について振り返り、まとめたものだ。

今後の注目トピックスについても記述しているので、

是非、参考にして欲しい。

 

目次- 項目をクリックで該当箇所へ

 

1週間の動向

 

9月10日(月)

先週7日発表された米国の雇用統計の伸びが20万1000人と前月比、予想を上回り大きく加速。
加えて8月の平均時給が前年同月比2.9%増加。雇用の増加とともに消費者の時給が伸びる、良好な循環を確認。ドルが買われる材料に。


9月11日(火)

1. イギリスの中央銀行総裁が退任を2020年1月まだ延期すると公表。
英国の欧州離脱問題がリスクだが、今回の退任延期により英国の離脱を軟着陸させる動きとして市場は好感。相場はリスク選好の動き。
2. ルネサスエレクトロニクスの米国企業買収。
このニュースは短期的には為替に影響はない。ただ、長期的な時間軸で為替動向を考える上で押さえておくニュースだ。今回の買収は、7330億円と巨額。米国企業の買収に伴い、7330億円分の円を将来ドルに替えて買収資金を支払う必要がある。
今後日本企業はより競争力を高めるため、海外企業の買収は増加していく。その動きは今後潜在的なドル高、円安要因となる(円を売りドルに変えるため)。M&Aの動向も確認が必要だ。


9月12日(水)

ビットコインのETF上場につき、米国の取引委員会が上場申請を相次ぎ却下している。
この問題が為替動向に直接影響があるものではないが、なかなか新しい仕組みは浸透しずらい。これまでの既得権があるため。やはりレバレッジをかけ制度が整備されているFXなどの為替取引は衰退しない。


9月13日(木)

1. トルコ大幅な利上げ、、
とうとうトルコも利上げに踏み切る。政策金利を6.25%引き上げ24%とした。予想に反し大幅な利上げ。これまでトルコ大統領が中央銀行に圧力をかけて利上げを抑制してきたが、リラ暴落に歯止めがかからず、利上げを決めた。
一時的にはリラが買われたが根本的な解決には至らないと見る。後程述べるが、今後為替トレードする上で、リスクは高いがリラでのトレードは旨味があると考える。
2. 欧州中央銀行が資産購入額を10月から半減させる。今後は月150億ユーロへ。
景気情勢に特段変化がなければ12月には購入額をゼロにする。まさに、米国と同様金融緩和解除に政策を加速させる。米国、欧州が緩和解除、翻って日本はまだ日銀による緩和継続。各国の金融政策の違いが顕著になってきている。ただ、あくまで景気が堅調であるとの前提ではあるが。これはシンプルに円安に向かうニュースだ。


9月14日(金)

特段注目されたニュースはない。為替は1ドル=112円台まで今週は円安が進行。ドル高になる要素が多くあった1週間となる。

 

注目のイベント

 

9月25〜26日のFOMC
まず、この会合での利上げは確実視されている。先週発表の雇用統計などが、利上げの可能性を高めている。


貿易摩擦

トランプ大統領が第3弾の制裁関税を導入する準備を続けているとのニュースが出る。
これまで第1、2弾の制裁関税500億ドルに追加2000億ドルをかける可能性を示唆。2500億ドルとなれば、中国からの輸入総額の半分程度。
貿易戦争が一層激しくなれば、リスク回避の円高になるだろう。まだまだ貿易戦争は継続、むしろ中間選挙後一段と激しくなると考える。


トルコ、リラショック

13日に6月以来の利上げを決めた。これまで、大統領が利上げに対して消極的だったがこれに反して利上げした。マーケットは好感。リラは大きく買われた。
ただ、この利上げにより今後積極的に利上げが進むとは言えない。何より実体経済が悪化している中での利上げはより景気を冷え込ませる。また、エルドアン大統領が継続的な利上げを容認するはずもない。今回の措置はあくまで一時的な対応であり、米国との貿易摩擦の悪化、トルコ経済の減速に伴いリラ暴落は再度起きる。リラの売りポジションは継続。ただ、今回利上げした事によりあるタイミングで一時的な利上げを実施し歯止めをかける。今後はその繰り返し。つまり、利上げのタイミングまではリラショート、時期を見てリラロングを繰り返しトレードできる。
利上げのタイミングはいつなのかがポイントとなるが、1つの基準は今回利上げする前の為替水準が1つの目安になる。

 

今後の動向予測

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1.円安要因

貿易摩擦リスク後退、リラショックの後退(トルコ経済の安定に伴う利上げ)、日本以外の中央銀行の金融緩和解除に伴う利上げ等の実施。


2. 円高要因

貿易摩擦、リラショックが悪化。日銀の金融緩和解除観測→仮に現実的になれば、急激な円高に。理由は、マーケットで日銀は金融緩和を継続すると見ているためかなりサプライズとして為替は反応する。

 

今週のまとめ

 

今週を振り返ると112円まで円安が進んだ。米国の雇用統計改善に伴う利上げ観測。トルコの利上げに伴うリラ暴落リスクの後退。
今のマーケットは経済情勢より政治による材料で動いている。
米中の貿易戦争が最も重要視すべきニュースであり、この問題を読み解くことであらゆるリスク資産の動向が見えてくる。
個人的な見解だが、貿易摩擦は恐らく中間選挙まで、と予想している人たちが多いが、私は中間選挙後から本格的に貿易戦争が始まると考えている。
この問題は、もっと根が深い世界の覇権争いだと考えている。